山本音響工芸
A-03S KT88/6550 直結シングルステレオパワーアンプ

A-03Sは最もポピュラーで入手も容易な5極真空管であるKT88/6550を出力段に使用したシングルステレオ方式のパワーアンプです。
KT-88と6550はほぼ同じ定格を持った大型の真空管をシングルでの本格的なアンプとして性能と音を100%発揮させることを目標としてこのA-03Sを設計されています。
標準付属出力管はTungsol6550です。

A-03Sでは出力管のプレート回路とスクリーングリッド回路を分離することによって12W/12Wの高出力を得ています。
回路構成は、音の良さと回路の安定性に定評のある直結方式を採用。初段に直熱タイプの5極管を使用し、出力管と直結することによって反応の良い躍動感に満ちた音を得ています。初段の1D5Gは定電流点火方式を採用し、カソードバイアス抵抗も含めて定電流化することによって出力管のバイアス電圧を安定させ、 出力管の電流の安定化を大幅に向上させています。本機では世界中の様々なKT-88と6550を簡単に取り替えて比較試聴して楽しめるように、出力管の電流を確認できる電流計が付属しています。
A-03Sの電源部には電源トランス、チョークコイルと出力トランスにはオリエントコア採用のカットコアトランスを採用し、さらに出力トランスには電気特性の優れたテフロン製の絶縁紙を使用し優れた高音質化に成功しています。
　さらに電源のフィルターコンデンサーにはほとんどの部分に過渡特性と歪み率の優れたポリプロピレン・フィルムコンデンサーを採用して透明感に優れた音を探求しています。充放電タイムが一般的なケミカルコンデンサーに比べて格段に優れ、コンデンサー自身の歪み率も比較にならないほど優秀です。電源部分のコンデンサーといえども、その音質はそのまま再生音として現れます。本機がクリヤーでかつ特性に優れるのはこのフィルムコンデンサーの採用が大きく貢献しています。
出力段の整流管には5U4Gを採用、KT-88/6550の大きな電流を効率よく供給するため贅沢に2本をパラレル接続して使用しています。

　その他の部分も最高級な部品を多数使用しています。デール社の無誘導巻線抵抗、純銅削り出しのスピーカーターミナル、3Pの電源入力端子、豪華なシャンペンゴールドシャーシーとトランスカバーなど全く手を抜かない仕様となっています。桜材製の強固な木枠とアルミ材による総非磁性材構造により磁性歪みを追放しています。スピーカー端子は8Ω出力端子のみですが4Ω, 16Ωのスピーカーを使用して何も問題はありません。ただし、いずれの場合も最大出力は下がります。8Wの最大出力であれば4-6W位の出力になります。
電流の多い部分及び高圧部分はできるだけ基板に電流を流さないようにし、さらに基板にも2.0mm厚と言う極厚のガラスエポキシ基板を採用することによって音質的にも満足のいく構成としています。

形式	KT-88/6550シングルステレオパワーアンプ
使用真空管	KT88または6550×2本、1D5G×2本、5U4G×2本
最大出力	12W+12W
周波数特性	25Hz~50kHz
入力インピーダンス	200k ohms
サイズ	460(W)342(D)190(H)mm
重量	18kg